2013年11月27日

10.エゾ鹿用の銃。(狩猟大全集チャレンジ編より)

スラグがどうしても当たらない人にはフルチョークと4号バックショットのバランスの良い短い普通のリブ銃身の散弾銃がベストでありますが、やはりエゾ鹿にはライフル銃がベストです。
しかしライフル銃の所持までには10年の歳月が必要でそれまでは必然的に対象はサボットスラグ銃になります。実戦のターゲットは100~150mに多いからです。

1-1.エゾシカ猟に使えるサボットスラグ銃の口径。
サボットスラグ銃にも12番と20番がありますが、初速もエネルギーもショットガンは腔圧で先に限界が来る為に小口径銃が高速になる事はありません。20番はエネルギーが30%前後減少して多少撃ち易くはなりますがその分シカを倒すエネルギーも減少します。

スラグ弾はライフル弾に比べて空気抵抗が大きく遠射時における弾速低下から来るパワー不足が予想されます。近距離ならばエネルギー的にも不足は無くそれ程の不利になりませんが100m超えを考えると12番でないと圧倒的に不利になると思います。

もう一つの理由として12番以外は弾の種類が少なく、良い弾に巡り会えない可能性が高くなる事も20番のマイナス要因です。

1-2.ボルト、スライド、オート、どれが良いか。
10.エゾ鹿用の銃。(狩猟大全集チャレンジ編より)
          SAVEGE M210 12番  

10.エゾ鹿用の銃。(狩猟大全集チャレンジ編より)
          BROWNING A-BOLT 12番

10.エゾ鹿用の銃。(狩猟大全集チャレンジ編より)   
          TAR-HUNT SLUG GUN 20番          

10.エゾ鹿用の銃。(狩猟大全集チャレンジ編より)
          ミロクMSS-20 20番

銃はボルト式が1番命中率に優れており将来ボルト式ライフル銃の運用を計画している人は絶対ボルト式のスラグ銃にすべきです。現在ボルトアクションとしては本頁の銃が入手可能ですが、12番となると実質サベージオンリーとなります。

ブローニングAボルトの12番は国産のミロク製でありMSS-20と同じ型式なのですが何故か製造中止で中古オンリーとなります。(08年Aボルトが限定再生産かなり高価。) ターハントとミロクMSS20は入手可能ですが20番です。 (ターハントの12番もある様です。)
マガジンは全て箱型2発弾倉の固定式で着脱式は設定がありません。

照準装置は絶対にスコ-プ式が有利、ドットサイト式やホローサイト式よりも映像が明るくクリアーな為です。倍率は4倍固定が安くて視野が広くて有利です。3~9ズームの3倍時より4倍固定は視野が広いからお奨めなのです。

自動式とスライド式はメカニズムが非常に似ておりますが実際の運用は大幅に違ってきます。それはスライド式がスライドを少し引いた半装填での激発事故を防止する為にロック解除装置が付けられている事によります。双方とも廃莢口から1発放り込んでの装填は可能ですが、自動式はボタンを押すだけで装填出来て慣れると同時間内にマガジンにもう1発チャージ出来ますが、スライド式は手を離さないとマガジン装填が出来ませんから緊急時単発連射になってしまいます。
  
10.エゾ鹿用の銃。(狩猟大全集チャレンジ編より)
          Remigton 11-87&1100(ガスオート)        

10.エゾ鹿用の銃。(狩猟大全集チャレンジ編より)
          Remigton 870(スライドアクション)

この二つの型式はウインチェスター、ベネリ、ベレッタ、ブローニング等々の外国メーカーの他に国産でSKBからもオートが出ております。両者の命中精度は特に変わりませんから総合的にオートの方が大幅有利です。現在使っている鳥撃ち用の自動銃と同じ操作で使える点はメリットの一つとしてあげられますが、スラグ銃を撃つ時は特別な練習が必要で散弾と同じ感覚で撃ったとしたらほぼ絶対にシカは獲れませんと言い切れる程に当りません。

もちろん連射時オートの方が有利は言うまでもありませんが、実際スラグは1発目が命でそれに失中するという事は2発目は走っていますから当る筈がないと言い切れます。
つまり連射性能はスラグ銃に関しては全く不要と言う点も銃選びには非常に重要な条件になります。



1-3.ライフル銃とサボットスラグ銃の比較。
精度と遠射能力においてサボットスラグ銃はライフル銃に敵いません。
まずは精度に付いて申し上げますとライフル銃は100mで25mmを保障しているメーカーがあり、私自身がそのクラスの市販ライフルの150mワンホールを経験していますから銃と弾の性能は25mm以下にあると言って良さそうです。

サボットスラグ銃はこれに対して50mで35mmを謳っているメーカーもあり、R生徒は4発を12mmにまとめた事もありますが硬い表現では50mmでしょう。

1-4.北海道出猟にはどの銃を用意したら良いか。
前項までは一般的な事を申し上げましたが、
結論としてサボットスラグ銃で連射はありえません。
止まっている鹿にも中々当たらない人が走る鹿に当たる筈など無いからです。

先項に狩猟3年目のK生徒のドギュメントを紹介しましたが、彼は稀に見る素質の持ち主です。
50mの射撃では3~5cmに全弾のその彼を以ってしても100mの止まっている鹿はまだ1度も成功しておりません。その後更に2年後には120mまで成功させています。

エゾ鹿猟を経験していない普通の3年目の平均的な人がサボットスラグで狩猟したら次の様になると予測されます。
25mならたぶん命中。50mはかなり怪しげ。75mはもう失中の確率の方が高く。100mでもうまぐれの確率すら期待出来なく、それ以遠は撃つだけ無駄と言う所です。もちろん走る鹿は論外となります。

筆者は走る鹿に私は絶対に当ててやろうと思い、頑張って実戦正味100日で約2000発を消費した頃に当たる様になりました。普通に考えれば暇もお金も絶望的です。と言う事で走る鹿に対しては当面は論外であると思って下さい。

北海道のエゾ鹿用に持って来るのは12番のボルトアクション銃、
これに4倍固定のスコープを付け、全長を105cm程度にカットし、
ストックを本人の体形に合わせた銃です。他の型式は考えられません。
サボットスラグ弾は絶対に市販弾の方が良く当たります。

バトラーキャップは不要、スリングは車内では不要でポケットに入れておきます。
車の中ではボルトを開け、セーフティを掛け、銃にはカバーを掛けます。カバーはすぐに外せるようにチューニングが必要です。

弾は1発をすぐに入れられる様に何時も右手に持ちます。1発必中ですからマガジンは使いません。又倒れた鹿が起き上がる可能性もある為、数発はすぐに希望の方向で取り出せる様にする必要があります。これを単発連射と言います。
最も必要な練習は発砲準備動作、スコープは構えたらすでに目標が捕らえられていて当たり前にしなければなりません。スコープは照準器で捜索具ではありません。







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Posted by little-ken  at 15:38 │ハンティング