2013年11月27日

5.各種狩猟の紹介。(狩猟大全集ショットガン編より)

狩猟には散弾銃を使った狩猟以外にもエアーライフルを使った物、ライフル銃を使った物、更には網や罠を使った物もあります。

エアーライフルを使った狩猟は殆んどの鳥猟が対象範囲にあり、1発狙撃のスリル等は散弾銃の躍動感ある狩猟に比べて甲乙付け難い物があります。弾の安いのも魅力です。
しかし空気の断熱膨張を使う原理から弾速は300m/sを超える事は出来ません。

鳥を捕獲する為の命中精度と殺傷能力は80m位まではありますが、空気抵抗の多い鼓弾を使用する事から弾速低下が著しく20~30mは非常に良く当たりますが、40mを超えると落差補正が難しくなり、50mを超えると横風&向風や彼我の相対位置関係や気温等々の精密補正が必要となり実用性に欠けて来ます。

なお、近年のプリチャージ銃の命中精度やパワーは従来に空気銃に比べて圧倒的に優れていると言う謳い文句は全くの嘘です。
古い時代のスプリング式空気銃やCO₂圧縮ガス銃に対してはその言葉の通りですが、1970年以降のポンプ式エアーライフルからは命中精度もパワーもそれほど進化はしていません。(筆者が1968年に取得した兵林館ASは5.5mmで弾速280m/s、70mのキジバトを貫通出来ました。)

また高性能プリチャージ銃で猪や鹿を捕獲したと言う話を真に受けてはいけません。
絶対に捕獲出来ないとは言いませんが、後述の飛鳥射撃と同様殆ど絶望的です。

エアーライフルで飛行する鳥に命中させる事は絶対に不可能ではありませんが、弾速が遅い事や落差補正をしなければいけない事からこれも殆ど絶望的です。
難しいから面白いと言う事もありますが、やはり50mまでなら飛鳥射撃も可能な散弾銃、更には弾粒のサイズを換える事により鹿や猪や熊まで対応出来る散弾銃に分があると講師は考えます。

本項では主に散弾銃を使った狩猟の紹介を致します。



1.鴨撃ち
その1:デコイ撃ち
冒頭で紹介した鴨撃ちはこのデコイ撃ちです。カモが多く集る所で周辺にもカモが移動するコースがあればなお良好です。池の大きさは必ずしも大きい必要はありません。カモがそこを気に入ってくれる事が大切な要素です。
カモは風下から侵入しますので必ず風向きを確認し事前にカモの飛行コースを観察しておきます。池が大きいとこの進入コースが絞りきれずかえって効率が悪くなります。

進入コースが分かったらそこにデコイを置きます。置く場所はカモが着水するポイント付近が良好です。そのデコイと進入線を結んだ線の両側に射手を一人ずつ置きます。人数が多いとたくさん撃てる確率よりも誰かがカモに発見され逃げられる確率が高くなるだけです。射手は進入側でもデコイの奥でも構いません。体を隠す場所が必要です。無い時は事前に作っておきます。

本物のデコイ猟を紹介しましょう。カモ撃ちを舐めてかかってはいけません。
射撃チャンスが多い為に早く上達しますが、射撃その物の難易度はトップクラスの難易度です。
第1段階。カモは数km先に池がある事を視認します。

第2段階。その池が安全かどうかを確認しながら近寄ってきます。そして異常を感じるとすぐに飛び去ってしまいます。従って数km先のゴマ粒状態で発見しないともうその時点で射手が発見されて近寄ってきません。だからその勝負に負ける様な見張りならしない方がマシです。カモは必ず風下から進入しますのでその進入コースだけを見ていれば良いのです。

第3段階。カモは遠巻きに数回池を廻ります。

第4段階。そして一応安全そうかなと思うと更に高度を低くして数回池を廻ります。

第5段階。ハンターが発見されなければ更に高度を下げて進入します。この頃になると一応射程限界付近ですから撃てない事はありません。しかしまだ警戒をしておりますので速度を落としません。ここで銃を向けるとカモは速度がありますので急上昇をして一気に安全圏に離脱してしまいますから1羽撃墜がやっとです。

第6段階。安全であると分かると今度は速度と高度を落としてもう1度最終確認にやってきます。先ほどよりは高度も速度も低くなるため、この時ならば腕の良いシューターという前提で各人1羽が可能です。しかし本物のハンターならまだ撃ちません。

第7段階。高度と速度を下げても安全であることを確認するといよいよ最終進入です。
今度は速度をしっかり殺し、高度も急速に下げて来ます。いよいよ着水が近くなると今まで体の後方に密着させていた足が出て来ます。高度はもう10m以下です。ここで射撃を開始します。距離は近いし、速度は落ちているのですからもはや射撃そのものはイージーです。撃たれたカモは速度と高度を回復しようと必死に羽ばたきますが翼はむなしく空を切るばかりでその割りに速度も高度も回復しません。やがてカモは連射で次から次へと撃墜されていきます。ここまで引き寄せれば各人ダブル以上も簡単です。

5.各種狩猟の紹介。(狩猟大全集ショットガン編より)
        最長30分に渡るかけ引きの勝負と手強いカルガモ達でありました。

その2:忍び撃ち
休み場や餌場にカモがいることが分かったら射程距離まで近寄らなくてはなりません。
ショットガンは優れた銃ですが、射程が僅か30m前後でMax.50m程度です。つまり石を投げても当たりそうな距離まで近寄らないとその効力を発しないのです。ショットガンの狩猟の最大の面白さはここにあります。

カモは視力も聴力も人間より遥かに優れておりますし、何よりも命が掛かっておりますから並の方法では接近出来ません。筆者も経験が少なかった頃あらゆる方法を試しましたが、すべて失敗でした。カモに対する忍び接近は不可能ではないかと思った位でした。

ある時、筆者がこれまでにも何度か接近に失敗している場所にカモがいました。今日はどの様な手法でやって見ようか考えていると先客がいました。猫です。
猫は背を低くし、忍び足で1m位前進し、そこで数十秒じっとしてました。また1m前進しじっとしています。これの繰り返しでした。その場所はカモから30mの所まではまばらですが草があります。しかしそれを過ぎると草は全くありません。

草のある所までは猫ならまず成功するだろうが、その先はいくら猫でも無理だと思いながらカモがいつ飛ぶのかと見てました。
驚いた事に草が無くなってもまだカモは飛びません。それどころか警戒すらしておりません。やがて距離は10mも切りました。カモはまだ警戒しておりません。なんとその猫は2mまで近寄ったではありませんか。

砂浜で背中半分以上がずっと見えているのですからこれには驚きました。2mまで接近に成功した猫は飛び掛かるチャンスを待っています。10分位した時でしょうか。カモが一斉に首を上げたとたん猫が襲い掛かりましたが、わずか数十cmの差でカモは逃げ去りました。
非常の面白いショーを見せてもらいました。背中丸見えでもあんなに近くまで行ける事を猫が証明してくれたのです。私も後日早速この断続接近法で挑戦してみました。成功はしませんでしたが、いつもよりは大幅に接近出来ました。もう少しです。

何回かやっている内にカモは飛ぶ前に何秒か首を高くする事に気が付きました。そこでカモが首を上げたらじっとしている事にしました。5分もすると首はまた元に戻り餌を食べ始めました。そこで私は再び前進しました。首を上げない内は大丈夫です。首が上がるとその警戒が解けるまでじっとしています。それを繰り返している内にまた新しい事を発見しました。徐々に警戒に慣れて来たのかあまり警戒をしなくなり、また警戒の解けるまでの時間も早くなってきました。そんな事を思いながらとうとう30mまで接近に成功しました。

ここですぐに撃たずに更に観察が必要です。カモは餌を食べながら多少は動くので何羽か重なる時があります。よ~し、今度3羽重なったら撃とうと決め、待っていました。まもなく重なります。そこでさっと立ち上がりました。

全てのカモがギョッとした顔でこちらを見ています。そのまま当初に目を付けていた3羽の塊に撃ち込みました。その後は乱戦です。手近かなカモを連射で次々と撃墜していきました。あっと言う間に射撃終了です。
弾込めしながら周りを見ると少なくとも6羽以上います。何羽かはまだ生きていますので止め矢を撃ちました。結果は8羽。1連射で定数(今は5羽で定数)でありました。
こうして忍び接近法は開発されました。

また考えました。接近する時に音が出ない様、そして少しでも姿を見られない様に地形の土木工事をする事にしました。流木を数本置いて見え難くし、音の出易い物も出来るだけ除去しました。また射撃ポイントにも大き目の流木を組合わせて置きました。
この場所はその後5年以上有効でここだけで軽く100羽以上獲らせて頂きました。

その3:その他の鴨の撃ち方
  追い出し撃ち:カモの飛行するコースは意外と決まっており大きな池から追い出すとある
  ルールの下に飛び去ります。その場所に隠密で先に射手を配置してから追い出します。

  踏み出し撃ち:水辺の葦の部分を歩きますと時に逃げ遅れたのが足元から飛び出します。

  船撃ち:ボートで沖合いに休憩している鴨の群れに接近して撃ちます。
  非常にゆっくり螺旋を描く様に接近しないと逃げられます。

如何でしたか。思っていたよりも色々な方法があるのがカモ撃ちです。実戦ではまだまだこれらの変形や組み合わせがありますので手法は無限大にあります。カモの猟場がなく、悩んでおられる方もいると思いますが、日本にカモが渡って来る限り、またすべてのエリアが禁猟にならない限り、カモの猟場は無限にあります。今は見つけ方やその他のやり方がちょっと分らないだけなのです。

鴨撃ちに最適なのはフルチョークに4号散弾と言われていますが、7.5号の方が有効です。


2.キジ撃ち
キジは日本の国鳥です。大陸のキジもアメリカのキジも殆どがオレンジ色のキジであり、緑色のキジは日本を始めとする僅かな地域にしか居ません。

ポインターやセッター等の猟犬を使いキジを追い出します。ポインターの名はキジの居る所の数m手前でそこにキジがいますよとポイントするのでその名があります。一方セッターはその時座り込んでそれを示すのでその名が付きました。

よく訓練された猟犬はキジの匂いがあると尻尾の振りが良くなったり態度が変わって来ます。ハンターはそれを見て肩から銃を降ろし準備をします。やがて猟犬はある一角に鼻を向け動かなくなりこれがポイントです。

ハンターは地形などを見てキジの飛び出す方向を予測し自分の立つ位置を決め、銃を構えます。多くの人は肩にストックを付けないスキートスタイルです。スタンバイOKとなったら猟犬に合図を送ると猟犬が前進し、大きな羽音と共にキジが空中に踊り出て来ますのでそこを撃ち獲ります。
弾は昔から6号、チョークはインプシリンダーが一般的ですが、7.5号の方が有効です。

キジは猟犬を使って猟をするのが一般的ですが、猟犬がなくても獲れます。
雨の日の朝は遅くまで田んぼで餌を食べていますので簡単に見付ける事が出来ます。
この時は距離が遠くなりますのでフルチョークです。
エアーライフルハンターでもこの時であれば捕獲出来ます。


3.キジバト撃ち
キジバトは別名を山鳩とも言い、本来は里山に住んでいました。餌は田んぼで食べる事が多く、ねぐらは山の中でした。今は平地の田んぼで餌を食べ近くの森や林をねぐらにしています。撃ち方としては次の方法があります。

餌場の踏み出し撃ち:
稲刈り後の2番の穂が出ている田んぼで行います。姿は見えなくても1羽いればまずその近くに必ず数羽います。そっと歩いて行くと10~30mで飛び出すしますのでこれをスナップショットで撃ちます。足元から飛び出す事もあれば遠射限界から飛び出す事もあるのでフルチョーク、弾は7.5号が良いと思います。

ねぐら又は休み場で撃つ:
餌を食べ終わると田んぼの近くの林にキジバトが止まりますので、予めその木の下でじっと待ちます。落としてもすぐに拾いに行かず待っていると次から次と来ます。
1度撃つとその群れは近くの他の林に行くので数ヶ所の林を同時に連携して猟をするとあっちで追われ、こっちへ来る。こっちで追われあっちへ行くが繰り返されます。

この猟法の射距離は20~30mが多く、時には10mであり、弾は7.5号、インプシリンダー辺りが適しています。ハトの速度が速いので相当早いスイングで思い切って撃たないと失中します。ハト撃ちは射撃的には結構難しい猟に分類されます。


4.タシギ撃ち
焼き鳥は甚だ美味しく、焼き鳥の王者と言われる鳥です。稲刈り後の水田に多く居ますが、キジバトは乾いた所、タシギは湿った所に居ます。湿った所が近くにあれば乾田に居る事もあり、水深は5cm以下、そんな所が猟場になります。

水田を歩けば10m位の所から飛び立ちます。飛び立ちは低く直線的ですが、10m程飛ぶと急に向きを変え俗に言うジグザグに飛びます。飛び立ち後かなり速やかに撃たなくてはなりません。射距離は20~30m、インプシリンダーに9号が良いと思います。
撃たれ慣れしている場合30m以遠から飛ぶのでフルチョークが必要です。

5.各種狩猟の紹介。(狩猟大全集ショットガン編より)
     1986年のある日の猟果。
     上段右よりキジ、ハシビロガモ、タシギ、下段中央はキジバト、そしてスズメ。



5.鹿猟
主にビーグル等の洋犬を使い、数人~10人程度が鹿の逃避コースにあるタツマ(待ち場とも或いは立ちとか待ちとか言われる地方もあります。本書では待ちとしております。)で待ち撃ちをします。勢子は一般に猟犬を誘導する係が1人の場合が多い様です。この猟法を理解するにはそのメインである猟犬の特徴と鹿の習性を理解しなければなりません。

洋犬の特徴:起こし鳴き(シカを追出した時に鳴く)や追い鳴きをするのでゲームの進行が分かり易い点が利点としてあげられますが、匂い追跡をするので足があまり速くないのが欠点です。通常は鹿との距離は10分程度ですが、場合によっては30分以上も離れている事もあります。つまり二山も向こうで犬の鳴き声がこちらを向いた時にはシカはすでに近くまで来ている可能性が高いのです。追跡はゆっくりですが、長時間追跡をしてくれます。

シカの習性:本来は昼間行動です。夜間もある程度は行動出来ますが、闇夜の行動は苦手の様です。目も耳も鼻も良く、走る速度も速いのですが、好奇心が強くハンターや猟犬を見極め様とします。その為に猟犬との距離が離れますと立ち止って振り返ったりします。普段は数十m歩くと立ち止り100m先の気配を取って安全を確保してから歩きます。追われると山奥に逃げますがまた元の位置に近い所に戻って来る習性があります。

第1段階:大物猟の朝は見切りと作戦会議。
大物猟の巻き狩りは朝あまり早く始まりません。第一段階は見切りと言いますが、シカがよく通る所の足跡の調査から始まります。分担してそれぞれの場所の足跡の大きさや新しさ、向き等々の情報を集めるのです。

見切りの情報を持ち寄り、そのデータからどの山のどの辺にどんな獲物が何頭入っているのかを予測します。次にその予測が立ったら、誰が何処の待ちに入り、勢子は何処からどの方向に追い出すかを打ち合わせで決めます。

近年は鹿の生息密度が高くなり、この見切りを省略していきなり打ち合わせをした山に配置に付くと言うやり方をするグループも多くなりました。

第2段階:配置に付きます。
打ち合わせに基き各自が所定の配置に着きます。連絡には一般的に144Mhzのトランシーバーを使います。配置に着いたらその旨をリーダーに報告を入れます。
山の尾根まで上がる待ちの人もおりますので配置に30分以上掛かる場合もあります。
稀にはこの過程でシカに鉢合せする事もあります。全員が配置に着いた事が確認されますと猟犬が放されます。

第3段階:猟犬が獲物を追い出します。
やがて猟犬が獲物の匂いを発見します。多くの洋犬はこの獲物の僅かな匂いが風に乗って来ると断続的に鳴く様になりますが、これを風鳴きと言います。風鳴きが聞こえると待ちのメンバーはそろそろ追い出すかと気分が高揚するのです。もちろん見込み違いはよくある事で半分位は空振りに終ります。

第4段階:自分の気配を消して鹿を待ちます。
猟犬の特徴の項をもう一度見て下さい。追い鳴きでゲームの進行は分かるのですが、匂い追跡をする為に足が速くないのが洋犬の特徴です。つまり鹿は猟犬が近くに来ると数百mをダッシュし、リードすると立ち止まり、100m先の安全確認が出来ると更に数十m進み、再度安全確認を行ないます。そして安全が確認されれば更に数十m進みます。以後これを繰り返します。なお鹿は比較的見通しの良い所を選んで歩きます。立ち止まる所は少し物陰的な所が多いと思います。

一方待ち場の射手の方から見ますと一般的には森の中で視程は20~30mしかありません。
(通常のショットガンによるバックショットやスラグの射程は20~50mでその意味では不足はありません。実際捕獲時の多くも20m前後です。) 射手は「さあ、何処からでも来い」とばかりに待ち構えています。鹿の側から見ると射手の気配プンプン、この様な状態では射手の100m以上も離れた位置から、あそこにハンターがいる事を鹿が見抜きそっと迂回してしまいます。射手は勝負に負けた事すら気が付きません。

初心者にこの気配を無くせと言っても絶対に無理であり、1番良いのはイビキをかかない程度に居眠りする事です。こうする事により、射手の気配は消え、鹿は当初の獣道を来ますが、射手が気配を振りまいている内は成功の可能性はゼロなのです。
もちろんこの時の射手はなるべく姿を丸出しにしない方が良いのですが、鹿の目は顔の両面に付いており、人間と違い両目で物を見る事をあまりしません。つまり鹿の視力はかなり良いのですが、平面的に見えており且つ色盲に近い様です。

結論的に言えば大きな木にくっついてじっとしていれば半ば丸見えであってもシカには判別出来ない様です。もちろん銃も体に密着させておかなくてはなりませんし、動かして良いのは眼球だけであり、呼吸すら半分程度に控えなければシカに悟られてしまいます。
鹿は自然と違う音や動きに関しましては物凄く敏感です。人間の10~1000倍程度の能力がありますから相当に心して掛からないと何時も鹿の一方勝ちになります。

当初の数回の出会いまでを除き、シカを捕獲出来る確率は0.05頭/日/人前後です。ただこれらとは別にマグレと言う例外も少しあります。
銃は通常インプシリンダーと6粒又は9粒のバックショットが使われますが、フルチョークと27粒の4号バックショット(昔は流通していませんでした)が有効です。


6.猪猟
進め方は殆どシカの巻き狩りと同じです。違う点は主に和犬を使う事と鹿は開けた所を走りますが猪はブッシュを走りますのでやや撃ち難いのが特徴ですがその分射撃距離は近くなり、また鹿は無音で接近して来ますが猪はバリバリ音を出して接近して来ますので気配は取り易いと思います。
猪は鹿の様に山を廻らず一気に隣山に逃げますので足跡調査の見切りをシッカリ行ない、待ちを緊密に張る必要があります。その狩猟形態からガサポンで獲物と間違って仲間や地元の住民を撃ってしまう事故も多く、注意が必要です。

和犬の特徴:匂い追跡もしますが目視追跡の比率が高くなります。風鳴きや追い鳴きをせず、起こし鳴きも僅かです。従って洋犬を使う場合の様に犬の鳴き声でゲームの進行が把握出来ません。足は速いのですが、あまりしぶとく追跡しません。格闘性を持つ犬もありこのタイプの犬を上手く使えば巻き狩りでなく単独猟も可能になりますが、民家の犬を噛み殺したり地元住民を襲ったりトラブルも多く、法律的にも猟犬の格闘性だけを用いた狩猟は禁止されております。

使う銃は何でも良く、一般的にスラグ弾が使われておりますが、射距離に応じたチョークとバックショットの組み合わせの方が良いと思います。よく猟犬が猪に絡んで来る事もあるからバックショットは禁止と言うグループもおりますが、猟犬が絡む時は至近距離でしか撃ちませんのでどんな弾で撃っても結果は同じであまり意味が無いと思います。


7.ウサギ猟
ウサギ猟は鹿猟に似ています。数人のグループでビーグル系の猟犬が不可欠です。
使用する銃に特別必要な要件は無く絞りも何でも良いです。多くは20~30mで撃ちますからインプシリンダーで良く、ウサギは意外と弾に弱いので6~7.5号で充分です。

方法はこれといったウサギの居そうな山に猟犬を放した状態で進みます。やがて猟犬が匂いを取るとメンバーは多少散開します。ウサギは草むらや木の根の影でじっと隠れており、最初の起こしで撃てる可能性があるからです。

やがて猟犬はウサギを追い出し、鳴きながら追跡をします。猟犬の行った方向や地形を判断し、沢筋や尾根筋など獣道が集合する様な場所に我先に陣取りをし、ウサギの帰りを待ちます。基本的には巻狩りですが、鹿猟の様に前もって足跡をチェックする見切りはなく、打ち合わせもない乱戦の巻き狩りです。

ウサギは30分以内、上手く行くと10分で戻って来ます。じっと待っているとやがて足音がカサッカサッと聞こえて来ます。確実に射程までじっと引き寄せれば射撃は難しくありません。ウサギは忍び足で来る事はありませんから鹿ほど気配を消す必要はありませんが、じっと待つ基本は同じです。


8.タヌキ猟
時々、猟犬に追われてタヌキが木に登っています。猟犬の近くに居る勢子しかチャンスはありませんがこうなれば撃つのは簡単です。狸は狸汁が有名ですが、脂肪が非常に臭くノドを通らない程です。調理する時はこの脂肪を全部きれいに外す事です。肉はかなり美味い部類で私は焼肉が好きです。


5.各種狩猟の紹介。(狩猟大全集ショットガン編より)5.各種狩猟の紹介。(狩猟大全集ショットガン編より)5.各種狩猟の紹介。(狩猟大全集ショットガン編より)
 写真左:1983年三重県大山田村にて。暗い所を逃げる為シカ猟よりやや難しく事故も多い。
 写真中:1985年初めて獲ったウサギ。レミントン1100の20ゲージ。
 写真左:時々は猟犬に追われ木に登っている狸が獲れる事もある。



9.クマ猟&ヒグマ猟
ヒグマは我が国最大の野性動物で体重は300kgを超えます。
かなり凶暴で毎年一般の人が何名かはヒグマにやられており、ハンターとて例外ではなくほぼ同数がヒグマの反撃でやられており、近年増加気味です。
これに対してツキノワグマは半分程度の体重で性質も大人しいと言われておりますが、それでも毎年何名かは大きな怪我を負わされています。

クマは国内最大&最強の対戦相手です。その猟は男のロマンの中のロマンです。
何時かは勝負したい対戦相手ですが、ミスって反撃されても困りますし、半矢のクマが自棄になって暴れたとしたらその責任は大変な事になります。
少なくとも超大物のエゾ鹿を倒せる自信の無い人が勝負を挑むべき相手ではありません。
5.各種狩猟の紹介。(狩猟大全集ショットガン編より)
  2007年に筆者が撃ったヒグマ。胴長175cmのメスヒグマ、中の大と言った所です。

これは半矢による事故ではありませんが、ツキノワグマが筆者友人宅の裏口から入って玄関から出て行きました。友人は急いで銃(レミントン870)を取り出し追跡したそうですが、その僅かな間に隣の婆さんは顔を引き裂かれ重症を負ってしまいました。大型のヒグマが死にもの狂いで暴れたらどうなる事でしょう。







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Posted by little-ken  at 15:56 │ハンティング