2013年11月27日

9.エゾ鹿猟の勧め。

狩猟は日本全国どこでも出来ますが、こと北海道は非常に魅力あるフィールドです。
その理由は幾つかありますが下記の様になります。
1.何と言っても自然が豊かで獲物が豊富です。
狩猟動物も豊富で、発砲制限も本州より遥かに緩やかで安心して狩猟が出来ます。

2.中でもエゾ鹿は非常に魅力多き対象です。
日本鹿や猪は今や日本全国にあふれている感じですが、エゾ鹿は獲物その物のサイズ&生息量ともに本州を遥かに凌駕する圧倒的な猟が可能です。
そのサイズも角長は80cm、体重は150kgに及び、本州鹿のどんな大物もエゾ鹿の1歳
児に敵いません。更に言えば猪の上物に劣らない味も魅力の一つです。

3.そんなエゾ鹿に毎日5回以上出会えるのがエゾ鹿のガイド猟です。
エゾ鹿は本州鹿の10倍以上の生息量があるのですが、脳容積も2倍以上あり、知能が高くハンターを避ける能力も2倍以上です。またエゾ鹿も巨大なのが魅力なのですが、一方でその大きさや重さからハンドリングに困るのも事実です。

4.手前ミソですが、筆者(リトルケン)が行っているEHG5205を紹介致します。
EHGとはE:エゾ鹿、H:ハンティング、G:ガイド、5205は下記の意味です。
  :出会率:5.3回/日 抜群の出会い実績、出会い=概ね発砲回数、北海道でもトップクラス。
  :捕獲率:2.1頭/日 体重100~150kgが1日に2.1頭捕獲です。どうしましょう。
  :出撃不能率:解禁猟前半に付きましては天候不良による出撃不能率はゼロです。
  :大物出会率:22% 角長外周実測値で70cm以上の大物が1日平均0.5頭捕獲です。

5.最近5年間の生徒の捕獲平均値捕獲6.0頭/出猟4.0日です。
平均ですから初心者はこれより下回って当然ですが、実猟4日以上で捕獲ゼロの生徒はおらず、余程でない限り複数頭のお持ち帰りが期待出来ます。
平均値の腕になるには数年或いは実猟15~20日が必要です。

6.コスパ:0.94万円/発砲チャンス1回、2.38万円/捕獲1頭、実習料5万円/日、抜群のコスパです。
飛行機代往復3万円を入れても隣県遠征より遥かにコスパに優れます。


以上の様に北海道エゾ鹿猟は少し遠いのが欠点ですが、飛行に乗って1~2時間車&更に車で1.5時間の距離で朝家を出れば夕方までに1~2頭の捕獲が可能、良いガイドさえ付ければ信じられない程の豊猟になります。


9.エゾ鹿猟の勧め。
   こんな写真が撮れる日はすぐには来ませんが、それ程は遠くないと思います。

9.エゾ鹿猟の勧め。
   写真は81cm 150kgのエゾ鹿の超大物、筆者の身長は180cmです。如何に
   エゾシカが巨大かお分かりでしょう。申し上げますが、これは特別な大物では
   ありません。良いシーズンなら5~10日の実戦で必ず対戦出来る相手です。
   そしてそこでミスらなければサボットスラグ銃でも必ず捕獲出来ます。


7.他の狩猟との難易度の比較。
カモ猟 > 鳥猟 > イノシシ猟 > 本州鹿猟 > エゾ鹿猟」の順に右方がイージー側です。

最も難易度が高いのは鳥撃ち、中でもカモ撃ちは更に難易度が高いと思います。
逆に最も難易度が低いのはエゾ鹿猟です。
我がハンティングスクールの生徒もエゾライチョウやマガモを序でに捕獲してやろうと多くの生徒が試みました。エゾ鹿を数十頭以上捕獲したベテランも複数いますが、結論として1名たりとも唯の1羽たりとも成功していませんからエゾ鹿猟に比べて鳥猟の方が遥かに難しい事を証明しています。筆者はカモ猟の名手だったからこそエゾライチョウ猟やマガモ猟にも成功していたのです。

ではカモ猟の名手が来ればエゾ鹿猟は簡単かと言うと実はそうでもありません。
最終的にはカモ猟の上手さや本州巻狩りの鹿猟の上手さも多少は生きて来ますが、それはエゾ鹿猟を正味15日以上行って慣れて来たらの話です。
この15日以内は経験量の差は殆ど出ませんからなるべく早くお越しになる方が良い結果に続ながります。

ではエゾ鹿猟の何が難しいのかと言えば次の3点です。
  1.他の狩猟とやり方がまるで違う。
車に乗って獲物を見付けてからから、発砲準備を含めて全てが急に始まり、これに慣れる必要があります。そうでないと足が地に着かない射撃になってしまい、弾は明後日の方向に飛んで行きます。

  2.獲物までの距離が遠い(100m以遠)。
その為、本来の銃と弾の性能を引き出せる本腰を入れた照準で無いとまるで当らない事です。
エゾ鹿猟に比べますと他の全ての猟は銃を向けて撃つと言う感じになります。
本州猟ベテランライフルマンが技能講習で合格率25%と苦戦していますが、北海道のベテランハンターは合格率95%でその差がこれを物語っています。

  3.エゾ鹿サイズが射手の体格を大幅に上回る。
その為に「肝不足」と言う「迫力負け」を起こす事です。対策は同じ失敗を3回する事ですが、この項目も本州猟には存在しない為に北海道の実戦で体験克服するしか方法がありません。

  4.上記3項目とも各々数年を要すならば、これを直列にせず並行にする事がベストです。
射撃の上達には数年が必要、エゾ鹿猟自体に慣れる正味15日(3年程度)が必要、そして迫力負け対策にも同程度の期間が必要ですからこれらの3つを並行に進める事が最短距離になります。

以上、エゾ鹿猟の難しさを書きましたが、エゾ鹿にはこれまた鳥や本州鹿には無い超オメデタイ「デメキン」と言うのが10~20回に1回位居ます。この鹿は20~30mまで近寄れますし、逃げませんからゆっくり狙う事が出来ますのでほぼ100%捕獲出来ます。過去4日猟をして手ぶらで帰った1年生はいません。同様に複数捕獲に至らなかった2年生もいません。




            エゾ鹿猟自前出撃に付いて。
法的な資格は銃を所持しており、狩猟登録を済ませていれば単独で出猟しても或いは仲間数人で出猟しても法的な問題はありませんが、個人猟には下記の様な問題点があります。

その問題の為、本来であればお客様であるハンター客をお断りする様になったホテルが北海道にはあります。その理由は違法解体や残滓の放置であり、更には捕獲したエゾ鹿の肉の処理をホテルの駐車場や道の駅の駐車場等の好ましくない場所で行うからです。

  1.残滓の問題。
単独猟は実際には相当な体力が無ければ難しいのが現状です。
解体自体は用途が自家用であれば山野で行う事自体に違法性はありませんが、残滓の放置は今や法的に絶対に許されなくなり、100%の回収が必要となりました。
本州とは獲物の大きさも周辺環境も大違いですからよく考えなければなりません。

動力を補助的に使うにしても倒したMax.150kgの鹿をある程度は自力で動かせなければ成立せず、またデカイ鹿を輸送するにもそれなりの装備を備えた専用車が必要になります。
どうやってデカイエゾ鹿を数百m移動させるのか、そしてそれをどうやって車両に積み込むのか? そして残滓を何処の処理場に運び込むのか? 
それらが確立されていなければエゾ鹿猟は不可能なのです。

これは法的な綺麗事では済まされていた時代は終わり、実際に完璧にその様に行わなくてはならない時代になりました。もし今だ従来方法で対処しているとすれば、あなたのハンターとしての寿命は残数年程度、パクられるのは時間の問題になります。
拙者の知る限りでもそれらを甘く見ていた多くの友人がパクられ、拙者もパクられました。

繰り返しますが、撃ったら残滓放置は認められず、森に入られただけと言う理由で勝手に未回収と決める事も出来ません。撃ったら必ず全量回収して処理場に運ばなくてはなりません。埋設は合法ですが、葉っぱや枝で隠したのは埋設にはなりません。
キツネごときに掘り返されない様に埋めるのが埋設で、木の根や笹の根がある所で本当の埋設をするのも相当な重労働であり、ほぼ不可能です。

生態に大きな影響が無ければ放置も合法ですが、その見解は角や肉が回収出来る場合はそうとは認められません。放置で許されるのは実質未回収だけですが、勝手に早期判断すればそれも獲物の放置となってしまいますから、実際にしっかり追跡してから判断しなくてはなりません。と言う事で今は無理して撃たない、撃ったならば100%回収して処理場に運ぶ、これが1番楽な方法であり、そして合法でもある方法です。

デカイエゾ鹿をどうやって数百m移動させるのか、そしてそれをどうやって車両に積み込むのか? そしてどうやって処理場に運び込むのか? 回収&運搬及び救助が期待出来ないエリアでの自力脱出装備類の架装代は100万円を超え、中古車両代と合計ではMin.300万円、新車に十分な装備を架装すると600万円以上となります。

そしてこれを猟場まで回送するのが、また大変で片道Min.2日、多くのハンターは猟場まで片道3~4日を要しています。これらの意味からもガイドの車とノウハウを使った方が圧倒的に楽であるは言うまでもありません。
Std状態のクロカン車に経験のない仲間編成のエゾ鹿猟は不可能な時代になったのです。

  2.残滓でパクられても狩猟を続ける方法。
残滓放置は狩猟法違反ですから、狩猟免許に対する取り消しや停止になります。
しかしライフル銃の所持目的は狩猟用途オンリー、狩猟免許が無くなれば銃は使えませんから返納しなければなりません。拙者の知る限りパクられた多くが銃を返納しています。

拙者の時も銃の返納を迫られましたが、拙者には海外の狩猟実績もたくさんある為に、仮に狩猟免許が取り消しになっても狩猟目的にライフル銃所持は続けられ、当局の指導には従いませんでした。
そしてその後の裁定で守備よく不起訴になりましたのでエゾ鹿猟は今も続けられておりますが、普通は返納を迫られた時にもはや耐えられなくなると思います。

海外狩猟で生き延びる事は出来ますが、この場合は狩猟免許が取り消しになるまで数か月の期間に海外狩猟に行って実績を作る事です。海外狩猟に行きたいだけではダメなのです。
但し海外狩猟は国内に手配業者は無く手配にはかなり苦労します。
また1回が数100万円になりこれに毎年通える資力があればの話になります。

もちろん愛銃を持参しなければその意味はなく、経済産業大臣に愛銃の一時輸出の許可を事前申請が必要です。最も安いNZ野山羊猟に自前で現地ガイドと直で契約すれば1回が総額50万円前後、これなら続けられそうで、狩猟免許の再取得までこれで生き残ります。
違法発砲を伴った場合には救い様がありません。
その時は海外で新しい愛銃を現地購入して置き、そこに通う以外にありません。

  3.出会いを得る事が難しくなりました。
近年は年中行事で駆除が行われており、地元駆除ハンターの平均値以上の技量が無いと出会いを得る事が難しくなりました。そう言う事から経験年数は数年でも良いのですが、密度の高い学習をして頂かないと自前猟では出会いを得る事が難しくなったと言えます。

その度合いは地元ガイドを付けても腕が3流の場合はロクな出会いが得られない程の厳しさになりました。実は駆除には報奨金が出ます。腕の良い地元1流ハンターは客を取るよりも自前でエゾ鹿を獲った方が金になり、2流ハンターでも同様です。

3流ハンターは自前であまり獲れないので客を取って小使いにしていますが、近年は3流ガイドを付けても捕獲ゼロの声をよく聞きます。1例を申せばM県の生徒は釧路方面にガイド料3日を4年行いました。初年度には何頭か獲れたのですが、その後3回は捕獲ゼロが続きました。しかしその翌年は拙者の所に来て2日で4頭、これが3流ガイドの実力です。

そう云う昨今ですから、3流地元ガイド程度の腕では今や余り通用しない時代になりましたが、それより劣るシロート編成のグループでは余り良い結果を期待する事自体に無理があります。

  4.トラップ。
トラップとは罠の事です。地元ハンターは狩猟シーズンには捕獲しなくて捕獲手当の出る駆除シーズンに捕獲します。狩猟シーズンには他所者ハンターに出来るだけ鹿を獲らせない様にパトロールをしています。以前はそれを自前ガソリンで行っていました。

それが今では公費の日当付で堂々と安全パトロールと称してやっています。
そして何か見付ければ当局に通報、当局も通報があれば動かない訳にも行きません。
その何かとは狩猟禁止の場所、そこでの狩猟には当然発砲を伴いますから銃刀法違反も同時に成立します。

それは柵のある所、作物のある所は所有者の承諾が必要と言う条項です。
これらは撃つ所を見られなくてもそこでその人が狩猟をしていたと言う通報だけで十分成立してしまいます。残滓の場合はそこで狩猟していた人が立ち去った瞬間に要件が成立してしまいます。地元はそれを通報する為にパトロールしているのです。

もう一つのパターンは狩猟が嫌いな農家です。狩猟お断りの旨の表示があれば、そこでの狩猟も狩猟法違反です。そこは誰も撃たない場所ですから鹿がよくいます。そしてそれを撃てば即座に御用になってしまうと言う訳です。

それ以外にも北海道警察は指導ではなく、パクるつもりでパトロールしていますから注意が必要です。それも近年は神出鬼没です。100%合法であれば何も怖くはありませんが、完璧でないとそこから上げ足を取られてしまいます。
近年よくあるパターンではシートベルト、これで止めて他の違反項目を探しています。

こうなって来ますと安全に成果を上げるには残念ながら、腕の良いガイドを雇うか、或いは西興部等の有料猟区に行くしか方法が無くなって来ました。





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Posted by little-ken  at 15:49 │ハンティング